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デイリー新潮2024年12月19日
コラムニストで脚本家の妹尾ユウカ(27)による「40歳近くになってパーカーを着てるおじさんは結構おかしいと思う」という発言が炎上。ホリエモンやひろゆきも言及し、論争を呼んでいる。ライターの冨士海ネコ氏は、「おじさんたたき」がここまで人気な理由を分析。なんでもかんでも「おじさん」を否定的に扱う乱暴さについても警鐘を鳴らす。
妹尾ユウカ氏による「40歳近くになってパーカーを着てるおじさんは結構おかしいと思う」という発言が燃えに燃えている。わたしは43歳にしてパーカーを着てライブする星野源さんの姿に萌えに萌えるタイプなのでびっくりしてしまった。ホリエモンこと堀江貴文さんやひろゆきさんらはXで否定的な反応を示し、連日ネットニュースになるほどだ。
8月には「夏場の男性の匂いや不摂生してる方特有の体臭が苦手すぎる」とXで投稿したフリーアナの川口ゆりさん(30)が炎上した。当時の事務所から契約を解消され、「世間の皆様の想像を遥かに超える深刻な事態が起きている」と交際相手が発信するほどに追い詰められていたよう。今月8日にトレイルラン大会の司会で仕事復帰を果たしたものの、ずっと「体臭批判のアナ」というイメージはついて回るだろう。
妹尾さんも川口さんもそこまで知名度が高くなかったことから、売名行為だったのではとみる向きも少なくない。本人たちは否定しているものの、若い女性による「困ったおじさん」報告は定期的に大きな反響を巻き起こすSNSの定番コンテンツと化している。昨年12月は「今日の席あまりにも人権なさすぎる」と、飛行機内の3人がけ席の中央に座った女性が投稿。両隣のスーツを着た男性が足を組み、靴底を女性の膝に向けている写真は3800万近いインプレッションをたたき出した。4月には新幹線の自由席に座っていた女性が、キャリーケースを置いていたのに隣に座ってきた男性のことを「本当キモい」とさらして大論争に。
以前からターミナル駅などにおける「ぶつかりおじさん」は話題になっていたが、最近は「触らない痴◯」など、公共交通機関における「おじさん」の嫌われぶりの可視化が進む一方だ。
しかし「おじさん」たちだって、全くの無神経なわけではないはず。痴◯に間違われないよう両手でつり革をつかむ、女性の隣に座ることは極力避けるなど、気を使い過ぎるほど使っている人も多い。
体臭や口臭ケアはもとより、そもそも話しかけるのも「キモい」と思われるだろうから必要最低限しか若い女性とは話さないなんていう声も。自罰的過ぎるほどに女性から距離を置いている人たちからしてみれば、妹尾さんや川口さんの発言の方が無神経に聞こえてしまうに違いない。
周囲に気を使えと言う女性たちと、もう十分過ぎるほどに気を使っていると言う男性たちの溝は深い。しかし両者はよく似ている。どちらも底にあるのは、「自分は我慢しているのに」という不満だ。口汚くののしることは性別問わず許されることではないが、どちらも自己責任を意識し過ぎている人たちだといえるのではないだろうか。
最近よく使われるなあ、と思う言葉の一つに「自分の機嫌は自分で取る」がある。他人の善意や忖度をあてにしないという姿勢は立派だが、「他人を頼ってはダメ」「自分の機嫌が取れない自分はダメ」と追い詰められた思考に陥る人もいるのではないか。ただでさえ自己責任と言われてきた氷河期世代の男性にとっては、また求められるハードルが上がったと余計にストレスを感じた人がいても不思議ではない。
自分の機嫌は自分で取ろうと思っているからこそ、楽な服装をする。汗をかいて趣味を楽しむ。狭い空間でしかめ面をするのではなく、なるべく広々と座れる空間を選ぶ。日々アップデートされる価値観に苦戦しながら重ねてきた自分なりの努力が、迷惑だと一方的に否定されたら傷つくことだろう。怒りは悲しみや不安の二次感情というが、妹尾さんや川口さんに向けられている怒号には、報われなかった自己責任社会に抱く辛さや無力感が隠れているようにも感じられる。
※以下出典先で
引用元: ・なぜ「おじさんたたき」コンテンツが人気なのか 鈍感で無神経な男性を「おじさん」とまとめる乱暴さ [七波羅探題★]
男のくせにグズグズ言わないの