https://news.yahoo.co.jp/articles/5c8c9a303cc0162eee99dca0093eca696e22119f
高度な専門性を備えているにもかかわらず、1日の大半を「調剤」という単純作業に追われているのが薬剤師の現状です。
そんな中、ロボットとICTの融合により「投薬の無人化」に成功した薬局経営者・渡部正之氏は、日本の薬局はただちにICTとロボットを実装し、対物業務から対人業務への移行を進めるべきと語ります。
Amazon薬局の脅威が迫る今、薬局が目指すべき方向について見ていきましょう。
日本も「箱出し調剤」へ移行しなければならない
⬛薬を「箱ごと」渡す海外、「箱から必要な錠数を取り出して」渡す日本
私は完全自動調剤技術の開発に挑戦し「自動入庫払出装置」「自動薬剤受取機」「医療情報連携基盤」という3つのアイデアで調剤ワークフローの多くの部分を自動化することに成功しました。
しかし、日本で完全自動調剤技術を完成させるためには、錠剤の数を数える行為をどのようにして自動化するかという問題が最後に残されています。
私はこの難問に挑戦し、3年間、さまざまな産業で使用されているあらゆるロボットを研究して必死になって自動化する方法を考えました。しかし、いくら探しても答えは見つかりませんでした。
計数調剤の自動化はできないのだと思い諦めかけたとき、私はひらめきました。
自動化が不可能なら、計数調剤をしなければよいのではないか、計数調剤の文化自体をなくしてしまえばよいのではないかと発想を逆転させたのです。
そして、この問題を解決する唯一の方法は医薬品の包装単位を変えることだということに気づきました。
結論から言うと、現在はほとんどの医薬品が100錠と1000錠の単位で包装されていますが、これを7錠と30錠の包装単位に変えるだけで、問題は解決できるのです。
本来であれば、日本も海外と同じように箱出し調剤にして、薬がなくなったら受診させるというのが最もシンプルな解決策です。
しかしこのやり方は、包装単位が100錠の現状では日本全国の医師のコンセンサスを得ることは不可能です。
しかし、包装錠数を7の倍数か30の倍数にすれば、医師の処方パターンのほとんどをカバーすることができるので箱出し調剤をすることが可能になります。
そして変則的な日数の処方をする場合のみ計数調剤を行えばよいのです。
あるいは、薬局が受けている処方せんの錠数のパターンを解析して、あらかじめよく処方される錠数を医薬品卸の流通センター内の分譲サービスを利用して、監査のために中身が見えるよう透明な箱にリパッケージした商品を納品してもらう方法でも、薬局における計数調剤の手間を省くことができるはずです。
医薬品の包装を変更するにはすべての製薬会社のコンセンサスが必要になるので、まずは医薬品卸の分譲サービスを利用する方法を普及させて、製薬会社の包装変更が進めば箱出し調剤に完全に移行すればよいと思います。
この2段階の方法によって、“日本版箱出し調剤”が可能となり、錠剤ピッキングにおける完全自動調剤技術は完成すると私は考えています。
計数調剤から箱出し調剤に文化そのものを変更するのは大変なことのように思えるかもしれません。
(略)
土橋先生によると、ヨーロッパでも1992年以前は現在の日本と同様に計数調剤が行われており、箱出し調剤は2000年頃から急速に普及したそうです。
きっかけとなったのは1992年のEU指令92/27で、患者に供給されるすべての医薬品に患者向けの添付文書(PIL)を同梱して、製造ロット番号および使用期限をラベルに記載するよう定められたのです。
さらにその後、電子処方せんが導入され
たことも箱出し調剤普及の要因の一つだったといいます。
私は日本もこの歴史をたどる必要があると考えています。
医薬品を箱に入ったまま患者に受け渡しすることはトレーサビリティの向上につながりますし、なにより箱出し調剤に移行し完全自動調剤を実現すれば、対物業務にかかる時間が大幅に削減されるため対人業務を充実させることができます。
医薬品流通の安全性確保、医療費抑制や目前に迫るAmazon薬局等の問題を考えると、箱出し調剤への移行は積極的に検討しなければなりません。
※続きはソースでご確認ください
引用元: ・知られざる「薬局業界」事情…日本の処方薬が「紙袋に入れて渡される」ワケ [煮卵オンザライス▲★]