https://news.yahoo.co.jp/articles/7688ba38be319db37f49b35410f307beb87da971
今年に入り、推定を含めた中国軍の無人機による太平洋の飛行が急増していることが18日、防衛省統合幕僚監部のまとめで分かった。5月17日までに17機が確認され、過去最多だった昨年の20機に迫る勢いになっている。海洋進出を強める中国が海軍艦艇と合わせて運用するケースもあり、航空自衛隊機が緊急発進(スクランブル)で対応している。
防衛省は中国軍機が太平洋上を飛行した場合、特異事案として公表している。推定を含めて中国軍の無人機は令和3年以降、太平洋上での確認が年々増加しており、5年に10機、昨年は20機と1年で倍増した。
今年確認された無人機17機のルートは2つ。一つは沖縄本島と宮古島の間を抜けて東へ進路を変え、南西諸島の南方を東進し、鹿児島県沖でUターンするルート。もう一つは与那国島と台湾の間を抜けて台湾東方を旋回し、東海へ戻るルートだ。
今年は2月26日に初めて新型の「GJ2偵察・攻撃型」を確認。4月には別々の海域で中国海軍の空母と同じタイミングで展開する事例も確認された。中国軍の無人機については「試行段階から運用態勢へ移行した」(吉田圭秀統合幕僚長)との見方も出ている。
昨年8月には中国軍機1機が長崎県沖で初めて領空侵犯した。海洋安全保障に詳しい明海大の小谷哲男教授(安全保障論)は「近年は艦艇の動きに合わせた事前偵察で飛ばす場合が多い。今後はますます頻度が上がり、ルートも複雑化するだろう。無人機による領空侵犯の可能性も否定できない」として対応強化を求めた。
引用元: ・中国軍無人機の飛来数急増 半年弱で2024年に迫る勢い 日本に対応コスト強いる戦略か [662593167]
昨年8月には中国軍機1機が長崎県沖で初めて領空侵犯した。海洋安全保障に詳しい明海大の小谷哲男教授(安全保障論)は「近年は艦艇の動きに合わせた事前偵察で飛ばす場合が多い。今後はますます頻度が上がり、ルートも複雑化するだろう。無人機による領空侵犯の可能性も否定できない」として対応強化を求めた。「有人機で行っているレベルの行動ができるもの(無人機)が入手できれば、中長期的な方策としてあり得る」。戦闘機パイロット出身でもある空自トップの内倉浩昭航空幕僚長は4月10日の記者会見で急増しつつある中国軍の無人機への対応について、こう見解を述べた。
将来的な対応として同じ無人機の出撃を視野にいれることを示唆した見解だが、背景には無人機1機に対し、戦闘機2機という非対称で非効率な自衛隊の対応がある。
無人機は低速で時速200キロ程度だ。高速が基本の戦闘機はエンジンノズルを下へ向けて機体を立てて速度を落とす不格好な追尾を余儀なくされている。また、緊急時に備えて2機で行動せざるを得ず、燃料が切れれば別の戦闘機と交代する。
パイロットは疲弊するが、それだけではなく数回の出動で部品の交換も必要になる。相次ぐ無人機の飛行は、不要な負担を相手(日本)にかける中国側の「コスト強要戦略」との見方もある。
一方、自衛隊側も無人機能力強化を掲げ、数年前から緊急発進(スクランブル)への導入を検討している。だが、具体化しないのは「性能によるところが大きい」(内倉氏)とされる。
前提として現状の無人機は速度が出ない。こちらの電波情報が採取される恐れがあり、捜索レーダーも使いにくい。
仮にレーダーを使う場合でも、遠隔で操作する際は、衛星通信で映像や操縦指示を送受信することになる。無人機を操る者は、数秒前の映像を見ながら操作する必要があり、さらに無人機が動くには数秒のタイムラグが生じる。
互いに時速数百キロで移動しながら操縦するのは有人でも職人技だ。ある空自幹部は「手動で接近するのは不可能だ」と話し、操縦不要のオートパイロット機能を必須として挙げる。だが、実用化例は国内になく、海外製でも限られた技術だ。
根本的問題もある。スクランブルは不審機に対する対領空侵犯措置として行われる。ある現役パイロットは「領空侵犯させないという国家の意思は無人機には示せず、有人の必要がある」と訴える。こうした議論の間にも中国軍の技術は着々と高まっている。

