https://www.tokyo-np.co.jp/article/4112482025年6月13日 06時00分 会員限定記事
5月のある日。群馬県のネパール人男性(49)は、届いた通知を目にして恐怖した。
「車に乗るだけで呼吸が苦しくなるのに…」
通知の差出人は、東京出入国在留管理局(東京入管)だった。(池尾伸一)
◆妻は日本人だが在留資格は認められず
男性は2008年に調理師として来日したが、倉庫で飲料を運んだところ、資格外の仕事に従事したとして在留資格を失った。
しかし、当時は強制的な帰国までは命じられず、2013年には日本人女性(52)と結婚した。
入管難民法には「日本人の配偶者等」という在留資格も規定されているが、男性は資格外の仕事に従事した違反歴があったためか、認められなかった。
そして、2013年末に国外への退去を命じられ、帰国を促されるようになった。
◆電車に乗ると「発作」 出頭はいつも妻が
その後、男性は入管施設への収容を免れる「仮放免」となった。3カ月ごとに東京・品川の東京入管に出頭しなければならない。
しかし、2015年ごろから、電車などの乗り物に乗ると大量に汗をかき、呼吸困難に陥るようになった。
「列車・飛行機利用への恐怖があるパニック障害」
医師はそう診断した。閉ざされた空間で不安に駆られ、発作を起こす病気だ。
男性は電車に乗れなくなり、3カ月ごとの東京入管への出頭は妻が代わった。
そんななか、2025年5月に、男性のもとに東京入管から強制送還の日程を伝える「送還予定時期通知書」が届いた。
「送還予定時期 令和7年6月第2週」
◆「入管は病状を把握しているはず」なのに
ネパールへの強制送還となれば、交通手段は飛行機だろう。
男性はおびえる。「車に乗るだけで呼吸が苦しくなるのに、飛行機なんて無理」
妻も訴える。「入管は私の代理出頭を認めており、夫の病状を把握しているはず。命を落としたら、どうしてくれるのか」
パニック障害自体は命に危険は及びにくいとされるが、必ずしも大げさとも言えない。男性は取材中も、何度も息を詰まらせ、自宅の外に逃げるほど。大量の薬も服用している。
強制送還の通知を受けた男性は2025年5月末に、在留許可を求めて出入国在留管理庁(入管庁)を提訴した
◆強硬姿勢の背後にあるもの
入管庁はこれまで、裁判で係争中の外国人については送還を見送ってきた。
しかし、今回は強硬だ。
提訴後に「6月第2週」としていた当初の送還予定こそ延期したものの、再び「7月第5週」に送還すると通知してきた。
背後にちらつくのが、入管庁が5月にまとめた「不法滞在者ゼロプラン」。強制送還を強化し、在留資格のない外国人を排除しようという計画だ。
不法滞在者ゼロプラン 入管庁が5月23日に公表した、在留資格がなく日本に住んでいる外国人をゼロにするための実行計画。在日外国人の管理強化を求める自民党の要請で策定された。護送官が付き添う強制送還は2024年に249人だったが、2027年には約500人に倍増する。難民審査を迅速化し、難民不認定となった人は早期に帰国させる目標も盛り込んだ。
入管庁は、男性への対応の是非については「個別案件については答えられない」と口を閉ざす。しかし、ゼロプランについては「すでに取り組みを進めている」と説明した。
男性の代理人を務める指宿昭一弁護士は、入管の対応を批判する。「長年にわたって日本人女性と結婚生活を送っている男性には在留資格が認められるべきで、パニック障害もあるのに送還するのは著しい人権侵害だ」
◆ほかの外国人にも…「ゼロプラン」の冷酷さ
このネパール人男性だけでは…
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引用元: ・乗り物で呼吸困難…パニック障害の男性に届いた「過酷な通知」 人権侵害をも顧みない入管庁の強硬姿勢の裏に [少考さん★]
飛行機が嫌なだけだろ?w
ストレスから引きこもりになった自分みたいなものか

