続投にしても退陣にしても、野党を巻き込んだ波乱の大政局になることは間違いない。選挙後の石破首相を待ち受ける政局を占う。(編集委員・吉田清久)
自民党が国政選挙で大敗すると、政局に発展する。今回も永田町の関心は選挙結果自体より、政局の動向に移っている。
一番の焦点は「石破首相の去就」だ。石破自民党は就任直後の2024年10月衆院選に続く敗退。通常なら退陣が濃厚だ。
もっとも、自民党の一部には参院で与党が過半数を下回っても「石破首相(自民党総裁)は退陣しない」との見方が出ている。理由は日米の関税交渉が当面続き「国難」が続く見通しだからだ。国難には、「野党の一部も一定の理解を示すのではないか」との期待感もある。
ただ、国政で2連敗を喫した自民党総裁が続投した例は聞いたためしがない。普通なら石破総裁は辞任の決断を示すはずだ。石破首相が「国難」を理由に態度保留しても党内で「石破おろし」が起きる可能性がある。
その予兆もある。ポスト石破の有力候補、高市早苗・前経済安全保障相は18日、参院選応援の訪問先でこう言及した。
「私なりに腹をくくった。もう一回自民党の背骨を入れ直す。そのために戦う」。
発言は過半数割れを前提に石破氏に対して辞任を迫った形だ。
参院選を受け、院の構成を決める臨時国会は8月1日召集の方向だが、首相が退陣し、石破後継を決める自民党総裁選が行われる事態となれば、国会でも首相指名選挙を実施しなくてはならず、召集日程は改めて調整されることになる。
臨時国会召集まで自民党内のポスト石破候補の動き、党内グループ(旧派閥)の合従連衡の行方に目が離せない。
永田町では、「石破退陣」を前提に水面下の調整がすでに始まっているはずだ。
どんなリオが想定されるのか。
まずは、「岸田文雄・前首相の再登板」である。ポスト石破をめぐり、前述の高市氏のほか林芳正官房長官、小林鷹之・元前経済安全保障相、加藤勝信財務相らの名前があがるが、現時点で、岸田文雄氏の存在感が上回っている。
年齢もまだ67歳(1957年7月29日生まれ)。今なお派閥を維持する麻生太郎元首相の支持があれば党内世論は岸田氏に傾き、「岸田自民党総裁、岸田首相」は実現する可能性がある。
もっとも、衆院に続き、参院でも与党過半数割れとなれば、与党の国会運営はままならない。予算や法案は野党の協力なしには成立しないからだ。
そのため、参院選もう一つの焦点は「連立枠の拡大」である。
対象は日本維新の会と国民民主党だ。維新については代表の吉村洋文大阪府知事が「与党の連立に加わる考えはない」(読売新聞「党首に聞く」7月6日朝刊)と明言。参院選でも苦戦が予想され、現時点で自民、公明両党が秋波を送る状況にない。
一方の国民民主党との連立は可能性がある。
奥の手は「玉木首相」だ。国民民主党の玉木雄一郎代表を首相に擁立し、自民、公明、国民民主党の「自公国連立政権」の設立である。
先例がある。村山富市社会党委員長を首相に担いだ自民、社会党、さきがけの「自社さ連立政権」(1994年発足)だ。
玉木氏自身、従来から夏の参院選後の政権の構図について、「今の政党の枠組みがそのまま残るとは思えない。選挙結果によっていろいろ政治の状況は変化する」(5月)などと述べ、政界再編の可能性に言及。さらに自身の首相就任への意欲についても「公党の代表である以上、当然ある」(同)と意欲満々なのだ。「玉木首相」でなくとも国民民主党の連立参画はあるかもしれない。
水面下で進む大政局を前に、大手メディアの政治部記者は「永田町のキーマン」の発言や極秘会合に目を光らせている。
キーマンは誰か。自民党でいえば、麻生太郎元首相、岸田文雄前首相、森山幹事長。国民民主党は玉木代表、古川元久・代表代行兼国会対策委員長あたりだろう。
「参政党旋風も気になる。いま、日本の憲政に大きなうねりが置きつつある。立憲民主党が内閣不信任案の提出に踏み切る可能性もある」(政治ジャーナリスト)。
https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/20250720-OYT1T50073/
引用元: ・【読売新聞】「玉木首相」の可能性
減税反対の立憲野田だと思うがな

