千葉県南部で大繁殖し、農作物に被害をもたらしているシカ科の特定外来生物「キョン」。
県が封じ込めに本腰を入れ、捕獲頭数は着実に増えているが、生息数の増加には歯止めがかかっていない。
県内のキョンは勝浦市の観光施設から野生化したとみられ、特に県南部での生息密度が濃い。そんな地域で外来種と格闘する駆除の最前線に同行した。■農業被害も増加
キョンは体高50センチほどの草食獣で、本来の生息地は中国南東部や台湾。
繁殖力が強く、県の推計(中央値)によると、平成18年に1万1800頭だった生息数は、令和4年度には約7万1500頭に急増。
生息域を拡大し、農業被害も増加している。さらなる拡大を防ぐためにも、駆除現場は全力を挙げている。
記者が同行したのは、御宿町で「オンジュクジビエラボラトリー」としてキョンの駆除作業をしている宮嵜勢太郎さん(40)。
埼玉からの移住者で、ジビエや革製品の材料としてキョンを活用している。
7月6日の朝、JR御宿駅で宮嵜さんと待ち合わせ、作業道具を積んだ軽トラックに乗せてもらい、10分ほどで未舗装の林道に入った。
宮嵜さんは林道脇に前日までに「くくり罠(わな)」18個、「箱罠」7個の計25個の罠を設置。
この日、掛かったキョンを回収する作業に同行させてくれた。
同町ではキョン1頭の駆除に7000円が支払われる。1人が仕掛けられる罠は30個が上限だという。
小川などが脇に流れ、樹木がうっそうと茂る林道は高温多湿。宮嵜さんと、ぬかるむ側面や斜面に仕掛けた罠を見回る。
主に仕掛けるくくり罠は、キョンが踏む底面と、それに反応してバネで引っ張りキョンの足をくくる部分で構成。
体重40~50キロを超えるイノシシは足1本に10キロ以上の重量が掛かるが、キョンの体重は6~8キロ。
足1本当たりにかかる重量はわずか2キロで、その上に動きも素早い。罠には少ない重さでも一瞬で反応する性能が求められる。
市販で5千円程度のものがあるが、宮嵜さんら猟師は、それぞれのノウハウを生かし、少しでも性能を上げるための独自の罠を作り上げているという。
■木の葉などで覆い隠す
くくり罠はキョンの思考を想像して仕掛ける。
罠を確実に踏んでもらうため、急坂の獣道を選び、キョンが好む餌を仕掛けることも多い。
木の葉などで罠を覆い隠し、前後左右に折れた枝を置く。
宮嵜さんは「坂道だと前方の臭いを嗅ぎながら下りられない。また人間と同じで、歩くときにわざわざ枝を踏みたがらない。
枝をまたいだ先に罠が待っているように仕掛ける」という。
数日捕獲できないと、こまめに設置場所を移動する繰り返しだ。
残念ながら、この日仕掛けた罠25個に「当たり」はなし。この数なら2日に1日は捕獲できるという。
帰路につく際、軽トラを折り返す作業で車がぬかるみにはまって動かなくなってしまった。
助けに来てくれた別の猟師に収穫がなかったことを話すと「死んでいるけどさっき取れて、私の車の荷台にあるよ」との一言が。
推定で死後半日ほどで、御宿で罠にかかったキョンと対面することができた。
キョンとの果てしない戦い。
宮嵜さんは「猟師一人一人の作業では駆除に限界があり、撲滅するのは難しい。どの程度の柵の高さなら農業被害が防げるかなど、
当事者や捕獲従事者と行政・研究機関が官民一体となって科学的根拠を示していけたら」と訴えていた。
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引用元: ・千葉県南部で大繁殖「キョン」 令和4年度は約7万1500頭 生息数増加に歯止めかからず 駆除最前線ルポ [ごまカンパチ★]
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