しかしネタニヤフ首相はこの戦争を「2度目の独立戦争」であると表現し、ハマスを根絶させるまで戦争を継続する決意を表明している。なぜ「独立戦争」なのか。パレスチナ問題は人類が抱える最大の難問ともいわれ、立場により見えるものが異なる。問題の多角的理解に資する映画を見てみよう。
嚆矢となるのは「アラビアのロレンス」(デビッド・リーン監督、1962年公開)だ。第1次世界大戦当時、アラブ世界はオスマン帝国の支配下にあった。英国は敵対するオスマン帝国の弱体化を図るべくアラブ民族の反乱を画策。その先陣を務めたのが英陸軍少尉ロレンス(ピーター・オトゥール)だった。
アラブ民族の懐に飛び込んだロレンスはアラブ独立を信じて共に戦う。しかし英国政府は15年にアラブの独立支持とパレスチナ居住を認めるフサイン=マクマホン協定を結んでおきながら、16年には中東地域を英仏ロ3カ国で分割するサイクス・ピコ協定を締結、17年には「ユダヤ人がパレスチナに民族郷土を樹立するシオニズム」の支持をバルフォア外相が書簡で表明した。
アラブ部族間の争いも絶えず、政治の矛盾に翻弄されたロレンスは失意のうちに帰国し事故死する。ロレンスはアラブ独立運動の英雄か、はたまた帝国主義の徒花か。毀誉褒貶相半ばするが、世界大戦の敗者となったドイツ帝国やオスマン帝国はいずれも滅亡している。国の存亡を懸けた戦時の外交を、単純に「三枚舌外交」と批判するだけでは済まない側面もあるが、近代パレスチナ問題を生んだ端緒となったことは間違いない。
静謐な砂漠を舞台として歴史の大波に翻弄される一人の英国人を描いた「アラビアのロレンス」は映画史に燦然と輝く「不朽の名作」の代名詞だ。上映時間は227分と長大だが、今だからこそ鑑賞する価値がある。
■「2度目の独立戦争」の背景
その後パレスチナは国際連盟決議に基づく英国の委任統治時代を迎え、ユダヤ人が相次いで入植し、アラブ人との摩擦が高まっていく。第2次世界大戦中のユダヤ人はスティーブン・スピルバーグ監督「シンドラーのリスト」(93年)が描いたように、ナチスによる大量虐殺(ホロコースト)という悲劇を経験する。
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/332024
引用元: ・【映画】映画で理解するパレスチナ問題「アラビアのロレンス」は今こそ鑑賞価値がある名作 [ネギうどん★]