90年代から若者言葉を収集して分析してきた堀尾さんは「私はテレビで『コク(告)る』という言葉を聞いて衝撃を受け若者言葉の研究を始めました。現在では使用されていなかったり、同じ発音の語彙でも違うものが出てきていたりと、若者言葉には実に多くの変化が見られます」と話す。例えば「コピる」「コク(告)る」は90年代に使用され始め22年になっても生きているが、2010年代に発生した「激おこぷんぷん丸」はほぼ消滅しているという。堀尾さんによると、「激おこ」はもともとギャル語とされ、ツイッターなどのSNSを通じて拡散。学生にインタビューしたところ、「おこ」→「激おこ・マジおこ」→「激おこぷんぷん丸」→「ムカチャッカ(着火)ファイヤー」→「カムチャッカ(着火)インフェルノォォォォオオウ」→「激オコスティックファイナリティぷんぷんドリーム」のように6段階に程度が増していく、という答えが得られた。堀尾さんは「『激おこ』に『丸』を付けるのがかわいい、という女の子の感覚があったようですが、結局、楽しい言葉遊びの1つに過ぎず使いすぎて飽きられてしまったようです」と消滅の理由を分析する。
一方、2010年代から台頭したのが「かわいみ」「つらみ」「バブみ」「わかりみ」などといった「~み」の使用だ。「『かわいみ』は『かわいい』を名詞化したもので、『バブみ』はバブバブと赤ちゃんのように甘えさせてくれそうな母性的要素を加えたもの、『わかりみ』は『この文はわかりみがすごい』といったように使用します。従来から『温かみ』『ありがたみ』など名詞化された言葉がありましたが、『わかりみ』は文法から逸脱しています。だからこそ若者が新しい言葉として好んで使っているのでしょう」。
最近の若者言葉の特徴は省略に見られる、ともいう。「例えばSNSでは『了解』が『りょ』になり最近は『り』だけ書く若者も見られます。同様に『マジ?』が『ま?』に変化し、『面白い』は『w』(warai=笑い)から『草』『森』と変化を遂げ、女子高生が実際に面白いことを『モリー!』と叫んだりします。また、『とりま』は『とりあえずまあ』の短縮形。『それな』は『それだよな』と相手の意見を尊重するというよりは、自分がより主体的に『そうだ』と思うときに使っているようです。文字を省略するのは若者言葉の主要な傾向です。他方、『ほぼ』を繰り返す『ほぼほぼ』は16年ごろに使われ始めものすごい力をもって広がり世の中に定着しました」
では、最近幅広い世代で使われるようになった「やばい」はどうなのか。「『やばい』はもともとやくざが使っていた隠語で悪い意味をもった言葉だったと言われていますが、2004年に放送されたフジテレビ系『SMAP×SMAP』の『ビストロSMAP』のコーナーで木村拓哉さんが『これ、やばいっすよ。マジでうまいから』と発言した例があるように、2000年代から良い意味の言葉として広がっていきました。最近では大人世代の間でも『素晴らしい』『かっこいい』などポジティブな意味で頻繁に使われています」
名詞に「る」を付けて動詞化することも若者は得意だ。「『サボる』は古くから若者の間で使われている言葉で『サボタージュ』に由来していますが、最近の学生は『サボタージュ』の意味を知らないで『サボる』という言葉を使っています。『コピる』は90年代後半に発生した言葉ですが、それまでおじさん世代は部下にコピーを頼むとき、『焼いて』と言っていたはずです。今となってはまったくの死語ですよね(笑)。『コピる』という言葉が通じるなら『コク(告)る』も成り立ちます。また、文法的には『すごく』とすべきところを最近では多くの人が『すごい』と言っています」。
ところで、こうした若者言葉は日本語の乱れなのか。「『誤字(ごじ)る』は変な日本語に聞こえますが、初めて聞いた人でも『誤字らない』『誤字ります』『誤字る』『誤字れば』『誤字ろう』といったようにちゃんと5段活用ができます。外来語に『―る』を付けて動詞を増やしたのと同じく、新しい語や動詞以外の品詞のものに『―る』を付けて動詞化するという文法に則っているからではないでしょうか。
※以下リンク先で
エンカウント2023.01.27
https://encount.press/archives/411420/
引用元: ・日本語は乱れているのか「わかりみ」「とりま」「りょ」若者言葉は元気言語の証拠 激おこぷんぷん丸はほぼ消滅 [七波羅探題★]
当時から気持ち悪かったけど最近すっかり見なくなった
「私の母は、だろ・・・ったく」って