根本的な原因は、日本経済の生産性や潜在成長率が低迷し、国内に高い収益を期待できる投資先が十分に育っていないからだ。
このため、日本企業や個人の資金が海外に向かいやすい一方で、企業買収や工場建設などの対内直接投資が、他の主要先進国と比べて少ない。また、デジタルサービスへの支払いや海外直接投資も、継続的な外貨需要を生んでいる。
こうした状況の下で、貿易・サービス収支や資本移動を通じた構造的な円売りが定着しているといってよい。
日本では、エネルギーや食料の輸入だけでなく、海外のデジタルサービスへの支払いも増えている。クラウドサービス、動画配信、インターネット広告、ソフトウエア、データ利用料などへの支払いにより発生する赤字は、しばしば「デジタル赤字」と呼ばれる。
こうしたサービスを利用するため、日本企業や消費者は外貨を支払う。その結果、円を売ってドルなどを買う需要が継続的に発生する。
また、新NISAを通じて、個人投資家が海外株式や海外投資信託を購入する場合にも、円売り・外貨買いが行われる。ただし、新NISAだけで円安全体を説明することはできない。企業による海外直接投資、機関投資家による外国証券投資など、より大規模な資金移動と併せて考える必要がある。
この構造の下では、日米金利差が拡大したときには円安が急速に進み、金利差が縮小しても円高が定着しにくくなる。
為替介入は、投機的な円安を抑えるためには必要な場合がある。また、日銀の利上げは日米金利差を縮小し、円安圧力を弱める。しかし、介入の効果は一時的であり、急激な利上げは、企業金融や住宅ローン、国債費などへの副作用がある。
政府は、「骨太方針2026」で、「責任ある積極財政元年」を掲げ、AI、半導体、エネルギー、防衛、医療などの成長分野に対して、複数年度にわたる投資を進める方針を示した。また、政府が民間投資を後押しする姿勢を明確にした。
このことは悪いことではないが、一方で財源や財政規律の具体的な説明が十分でなければ、国債発行額が増加し、将来の財政負担が重くなるのではないかとの懸念を市場に与える。国債利回りや円相場にも影響を及ぼしている。
せっかくの政策も円安を加速させるだけに終わるリスクがあることを認識する必要がある。円が長期的に売られやすい構造を変えるには、生産性を高め、国際的に競争力のある企業や産業を育て、実質賃金と期待収益率を引き上げる必要がある。そうした努力が円相場の安定につながる。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/d745fcc5e3b5774418e6d1ea65ffdcb7455eed10
引用元: ・【経済】円安止まらず「163円台」、円相場安定に必要なのは企業や産業の“国際競争力”
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